化粧品、簡易トイレ、ペットシート、災害用土のう。生活のあらゆる分野で使われる吸水性ポリマー。もしそれらが100%オーガニックなEFポリマーで製造できたら、私たちの未来は大きく変わるかもしれません。今回の社内インタビューでは、研究開発だけでなく営業職においても豊富な経験を持ち、CEOナラヤン氏をはじめ社員も大きな信頼を置く、ポリマー研究開発スペシャリスト・中川康さんを取材。EFポリマーが掲げる、農業用途以外への可能性について話を聞きました。〈ポリマー研究開発スペシャリスト・中川康さん〉開発が進む農業用途以外の商品土壌の保水性や保肥性を高める保水剤として農業向けに販売されているEFポリマーですが、石油由来のポリマーが様々な製品に使用されているように、その使用用途の可能性は広い分野で期待できます。潜在的な用途を、現在開発検討が進んでいるものを中心に紹介していきます。化粧品(リキッドファンデーションやリップなど、粘着性のあるものに使用)簡易トイレ(災害時での使用)災害用の土のう(土砂等を塞き止める)母乳パッド(肌にやさしいパッドを求める声も)粉塵防止剤(砂埃等が舞うのを防ぐ)ペットシート生理用品紙おむつ廃液血液固化剤(医療用廃棄の際などに使用)使い捨てホッカイロルームフレグランス(ジェル状のもの)ペンキなどの塗料(粘り気を出すために使用)洋服などの繊維フェイスマスク傷パッドポリマーの使用用途がこれだけ多岐にわたることを知って驚く方も多いかもしれません。多量の水を吸う特徴から衛生用品に活用されることはもちろん、増粘剤として化粧品やペンキなどにも使用され、人々の暮らしに欠かせない存在です。オーガニックポリマーは、石油由来ポリマーに比べて100%有機成分で作られた化学物質。環境にやさしく、人体に対しても毒性がありません。肌に直接触れる製品や、廃棄する際の環境負荷の高いものなどを中心に需要が高まっています。〈水を吸収して膨らむEFポリマー〉一方、石油由来のポリマーはつくる過程で有機金属という物質が使われていることが多く、少量ですが人体に対して毒性を示す可能性があります。土壌や動物に少しずつ影響を及ぼし、極論で言うと、地球によくないのです。「これまでポリマーに関するさまざまな文献に目を通しましたが、それらは全て科学ポリマーについて書かれたもので、環境にやさしいオーガニックポリマーについては歴史がありませんでした。なぜなら化学を学んだ多くの研究者は出発物質を「石油」しかないと思い込んでいたからだと思います。まさかバナナの皮やオレンジの皮を出発原料にしようとは普通の日本人研究者なら思わないです。需要はとてもありますが、出発原料の調達方法について日本人は日々の生活の豊かさ及び、出発原料は石油しかないというマインドブロックゆえに誰もが本当に真剣に考えられなかったのではないでしょうか。このマインドブロックを壊したのがナラヤンです。現時点でも、吸水性のポリマー商品は99%が石油由来。100%オーガニックのEFポリマーは、奇跡的な商品だと言えるのではないでしょうか」と中川さん。研究者、そして化学メーカーの営業としての多才で豊富な経験を持つ彼にとっても、EFポリマーの技術は業界に革命を起こす画期的な技術でした。〈農業以外の用途に向けて開発を進める中川さん〉筑波大学大学院(有機合成化学専攻)在学中に産業技術総合研究所(AIST)(触媒化学)で研究を行い、外資系化学メーカー(化粧品、粘着、接着、熱伝導性、絶縁性、導電性材料の研究・開発・営業)を経て、2023年12月にEFポリマーに参画。現在は研究開発スペシャリストとして、マーケットインとプロダクトアウトのプロジェクトを担当しています。「会社での私の役目は、クライアントや社会が望む製品をEFポリマーを用いて生み出すことです。研究だけでなくお客様への提案や技術会議の参加など全てのコーディネートに関わるためプレッシャーもありますが、この会社にしかないものを世の中に提案できている事実にとてもワクワクしています」市場規模の拡大と成長予測中川さんによると、オーガニックポリマーは今後、国内外を見据えると長い期間を経て、年間1兆円〜5兆円の市場になる見込みだといいます。石油由来のポリマーに比べて吸水性能や生産コストの課題はあるが、石油不足への懸念や環境倫理への関心の高まりから、将来確実に需要が伸びていくことが予想されるマーケットです。「私は、ナラヤンがよく言う『Mother nature has a solution to every problem.(母なる自然が問題を解決する)』という言葉が好きです。人類は産業革命後、生産量の増加に比例して地球に良くないことをしてきました。EFポリマーは、自然のものを使用して、今までの石油由来の製品を置き換えることができる転換点になります。私たちの協業パートナーやクライアントの多くは『環境に良い製品に変えていきたい』『この先の未来を考えていきたい』という思いを持っています。私たちもその思いに応えられるように、それぞれの役割に対してプライドを持って働いています」長い歴史を持つ業界にとって、製品の原材料を変えていくことは必ずしも容易ではありません。会社にとってリスクが伴うことであっても、長期的な目線をもった決断を行うことで、より大きな課題解決につながると言えるでしょう。オーガニックポリマーという新しい歴史は、インド出身の研究者でありEFポリマーのCEO・ナラヤン氏の試行錯誤と挑戦によって始まり、たくさんの農家や企業に広まっています。〈現在は農業用途で使用されるEFポリマー〉EFポリマーは今後、農業分野以外での用途を目指した研究を重ね、生活のあらゆる領域において暮らしを支える吸水ポリマーをより人と環境にやさしい製品にするよう努めていきます。さらなる企業成長を見据えて、2025年にはシリーズBの資金調達を予定しています。「特に海外(米国、欧州)の投資家ともお話を進めています。 単なる資金の調達ではなく、互いにシナジーが生まれるパートナーと共により大きなインパクトを生んでいきたいと考えています」と中川さん。商品開発をリードする中川さんの活躍と、EFポリマーのさらなる成長にご期待ください。